５年越しの片想い
（※05.07.05追記：このエントリーはhttp://park3.wakwak.com/~madness/test/tankthebest.htmlに清書しなおしました。もしリンクしてくださる方がいらっしゃれば、今後はそちらがよろしいと思います。）
正確な期日は忘れてしまったが、1999年の終わりか2000年の始め頃だったと思う。
ＡＤＳＬの世帯普及率がまだ低く、ＮＴＴテレホーダイ全盛の頃。
そう、まだGoogleの日本語サービスや２ｃｈさえ、生まれたか生まれないかの頃だ。
当時、私が”少佐”と呼んでいたお方から、話題になっているというある音声ファイルを戴いた。
その音声に登場した人物の漫談は面白く、出所のわからない私にとっては正体不明ながらも「素人じゃないな」という感じがよくわかった。
その少し後、同ファイルは人気となり、彼は「ペリーの人」「マルコの人」としてネットを席巻することになる。
しかし今回は吐夢さんとはまた別の話。(笑)
これがきっかけとなり、私は面白い音声ファイルを集めるようになった。
吐夢さんのようなネタものも探したが、私が主に集めたのは、ニュースやラジオなどの音声を適当に編集し、面白おかしくした、所謂、「ＭＡＤテープ」というものだった。
そしてここからが本題。
そのＭＡＤ音声とかＭＡＤテープとか呼ばれていた類の代物、今も探せばネットの至る所に落ちていると思う。
もちろん大半は無許可の著作権違反物だけれど、中にはプロも唸るような職人技の光る面白い作品が少なからずあった。そんな作品に出会いたくて小さいＨＤが一杯になるまで貪るように探した。
現在、素人作のネタFLASH探しにハマっている人はちょうどそんなものだと思って欲しい。
そんなある日のこと。
私は一つのＭＡＤテープに出会った。
たくさんのネタをオムニバス形式でまとめた大きなファイル。
内容は取り立てて秀逸というわけではなかったが、非常に印象に残ったことがあった。
作者がファイルのエンディングに使っていた曲だった。
音質は悪かったが一発で気に入ってしまった。曲名が知りたかった。
しかし、不幸なことに、そういうファイルをＵＰするアンダーグラウンドなサイトにありがちな出来事だが、運営者はさっさとファイルを引き上げて、サイトを閉鎖してしまった。
さらに残念なことに、私の不手際でそのファイルもいつの間にかなくしてしまったのである。
頭の中にのみ残る、あのメロディ。一体誰が作ったなんという曲なのだろう。
もう一つ残念なことにその曲はインストゥルメンタルで歌詞が無かったのだ。
検索も人並みに使いこなし、ネット初心者は脱していた私だったが、これには参った。
今日ですら動画や音声ファイルの検索というのは難しい。ようやく本日、Googleがそういった検索に力を入れ始めたというニュースが流れたばかりだ。
歌詞があればその文言を手がかりに探すなり聞くなりはできる。
しかしそれすら出来ない。
鼻歌を歌ってそのWAVファイルを人に聴いて貰うという手もあるだろう。
でもまだあのときはISDNの細い回線だったし、そんな恥ずかしいことをしてまで聞く勇気もなく、詳しそうな人が集まる場所を知る術も私にはなかった。
（今なら2chに行くんだろうけどね）
ひょっとしたらあまり有名でない曲なのかもしれない。
第一、あのファイル以外で耳にしたことが無い。
プロが作った、何かの番組のテーマ曲ならいいが、万が一素人やセミプロの作品だったらアウトだ。
二度と出会えることは無いだろう、と。
私にとって唯一の救いは曲自体の素晴らしい出来、それだけだった。
あれが素人の作ったものであるはずはない、演奏もそれなりに手が込んでたし、きっとプロのものだ。だとしたら、いつかどこかでＴＶやラジオのＢＧＭとして使われるのではないか？その曲を収めたＣＤに偶然出会えるのではないか？という希望だけだった。
半ば諦めていた。
あれからもその曲のことを気にかけてはいたが、有線からもラジオからも、それが流れてくることは無かった。
そして５年の月日が流れ、2004年の年末。
いつもどおりテレビを点けっぱなしにしながらパソコンをいじっていた私の耳に、画面からあの曲が突然飛び込んできたのだ。
見たこともないアニメのＤＶＤボックス発売のＣＭだった。
15秒。テレビから流れる情報に釘付けになった。
すかさず検索をかけた。
それらしいタイトルのＭＩＤＩを見つけた。聴いた。
間違いなかった。
これが、98年に人気を博したハードボイルドアニメ「COWBOY BEBOP」オープニングテーマで、菅野よう子さん作曲の「Tank!」に対する、私の５年にもわたる片想いの話である。
さっそくサントラを借りて、アニメも鑑賞中。
ああ、ＪＡＺＺが好きになりそうだ。音楽って素晴らしい。
