”トカイモノ”との遭遇

私は事あるごとに思っていました。
「『田舎者』って言うけれど、都会生まれで都会育ちの人に対して『うわ、こいつ田舎者か。』と感じることがあるんだよね。ああいう人は何て呼べばいいんだ?」
 
そもそも田舎者とは?三省堂大辞林によると、

(1)田舎の人。田舎育ちの人。
(2)礼儀作法を知らず、やぼで気の利かない人をののしっていう語。また、自分をへりくだっていう語。

(1)はもうそのままですね。
ここで特に注目したいのは(2)です。
 
普通「田舎者」と言うときは、蔑称や謙譲語としてこの意味を強調して使うことが多いと思います。

でも自由な行き来が制限されていた封建時代ならともかく、現代で”礼儀作法を知らない”、”やぼで気が利かない”なんてのに地域差がどれだけ関わっているのかちょっと疑問です。今私たちが使う「田舎者」とは「世間知らず」とか「都会の常識・システムに無知な者」という感じではないでしょうか。
 
要するに物を知らないバカを罵ったり、そんな自分をへりくだって見せるときに「田舎者」と言うのですが、それってよく考えたら都会育ちでも十分ありえますよね。東京の地理なんか地元の人間より、かえって東京によく遊びに行く周りの県の住人の方が詳しかったりしますしね。
 
そこで個人WEBサイト文化研究所では「田舎者」の対義語として「都会者」を提案します。読み方はトカイモノ、トカイモンで。

あなたの周りの都会育ちでこんな人見かけませんか?ほら、特に全国あちこち出張したり、都市部や郊外色んな発展具合の街を移り住んだ経験をお持ちの貴方は思い出してみてください。

【都会者の典型】

  • 田舎というものに過剰な憧れ、間違ったイメージを持っている。
  • 田舎に対して優越感を持ったり、逆に田舎生まれでない自分にコンプレックスを感じている。
  • 「え、コンビにないの?!」「え、次の電車まで30分以上あるの?!」田舎者にとって当然の常識にも、田舎に詳しくないため異常に驚く。
  • 「駅の周辺は発展していて当たり前」「県庁所在地はその県で一番発展していて、人口も一番多い」という固定観念がある。
  • 「○○県(市・町)は××(地域名)の内に入らない。」という、差別的なセリフを平気で言う。

例)「滋賀は関西じゃない。」「あの辺はもう隣が佐賀でしょ?あんなところ福岡に入らない。」
これは単に行政区や地域の境界線をどこにするかというだけの話なのでもちろん実際問題としてそんなわけないのだが、「大都市を持ってない都道府県を我々と同じ仲間に入れるわけにはいかない」という意識がある。

  • ローカルな地名にも関わらず「知ってて当たり前でしょ」と言わんばかりに説明無しで都市部の地名を会話に織り交ぜてくる。特に全国放送のトーク番組。

とまぁ、だいたいのイメージとしては田舎者にとっての田舎と都会をほぼそっくり入れ替えた感じです。


【私の実際に出会った都会者】

  • 一緒に新幹線に乗っていた時。彼は東京23区内の出身で滅多に都外へ出ない人だったらいしいのだが、線路脇に広がる見渡す限りの水田を見て「すごい、田んぼだらけじゃん。」と興奮していた。何が楽しいのか田舎者の私にはさっぱり。
  • 列車ネタもう一つ。「埼玉に入ると駅から駅までが遠く感じるんだよね」と。東京のあの短い駅間隔が全国津々浦々まで標準だと思っているらしい。
  • 「この辺は空気や水が美味しいですね」をお決まりのように言ってくるが、田舎者の私は特にそう感じたことはない。生まれてずっとそうなので「これが普通」としか答えようがない。他所の地方で水や空気を「不味い」と感じたことはあるが、未だに自分の地元の空気や水が「美味い」と感動したことはない。至って当たり前。至って普通である。

【おまけ】

  • 有名どころでは地方に赴いた際、水田を見て「あの草はなんだ」と地元の人に聞いたという夏目漱石なんかも都会者か。
  • ジャンプ今週号の「魔人探偵脳噛ネウロ」でなんかそういう例ありましたね。ライスのセリフで。絶対的優越感がどうのこうのってヤツ。
  • みなさんの遭遇した都会者の情報、お待ちしております。