今日北京で蝶が羽ばたいたせいで明日ニューヨークに嵐が来るかもしれない

そんでバタフライ・エフェクトっていう言葉の意味を少し説明しておきますと、「蝶が羽ばたくと地球の裏側で竜巻が起こる」っていう感じでカオス理論を説明する言葉で、ほんのちょっとのつまずきが後に重大な結果に結びつくとかそういうの。わけわかんないけどなんとなくわかるでしょう。わかってくださいよたのむから。
おれはおまえのパパじゃないより

端的に説明すると
風が吹けば桶屋が儲かる
って類のやつです。 
この「バタフライ効果」。私の生き方に影響を与えた理論なので補足。(笑)
 
これは最初、気象学の研究者がコンピューターである現象についてシミュレーションをしていたときに発見したものなんですね。
 
その前に科学者の計算の仕方についてちょっと。
物理や化学を学んだ方はよくご存知だと思いますが、科学者は普通、物理定数とか物量の測定値を計算式に放り込むとき、用途に合わせて○桁以下四捨五入した「有効数字」というものを用います。これは人間の測定に限界があったり、いくら正確な数値だからといっても意味無く細かい桁まで放り込んでいたら計算が面倒になるからです。家を建てるときミクロ単位まで柱の長さを測ったりしないでしょ?それと同じです。
 
さて、この研究者も近似値を使ってシミュレーションを開始しました。
具体的にどんな計算だったかまでは詳しく知りませんが、コンピューターで何十回何百回も積算するような計算だったようです。
 
一通り計算を終えて彼は答えが間違っていないか検算してみました。
するとさっきと答えがだいぶ違っていた。
 
彼は最初入力ミスをしたか若しくはコンピューターが狂ったんだと思ったそうです。そりゃそうでしょうねぇ。でもなんと近似値の有効数字を省略して計算したことが原因でした。
 
まさか近似値の桁を多く入れたか入れないかでそんな大きな違いが出るなんて思いもしなかったでしょう。例えば円周率を3.1415とすべきところを3.141に間違えたからといって円の面積が全体から見て大きく異なるということはありえません。恐らく”積算”というところが味噌です。最初は微々たる違いだったけれど何度も何度も計算結果を積み重ねるうちにとんでもない違いとして答えに影響を及ぼしたのでしょう。
 
因みに何でこの話を説明するときに決まって蝶々が例えとして出されるかというと、そのとき出来たグラフの形がたまたま大小4つの円をたくさんの層にした蝶の羽のような模様になっていたから、だったと記憶しています。だから名前こそ「バタフライ効果」ですが、蝶とは何の関係もありません。w

以上が発見のエピソードです。
以後、カオスな系で初期条件のわずかな違いが結果に大きな影響を及ぼすことを「バタフライ効果」と呼ぶようになりました。
 
歴史上バタフライ効果の例を。
世界最初の大帝国を築き上げたアレクサンダー大王マラリア蚊に刺されて熱病で死んだと言われています。*1
だとしたら、たった一匹の蚊が原因で国境線の位置に影響をもたらした、と解釈できます。このように虫一匹が歴史を変えることもありえるということです。
 
この理論がロマンチックなのは未来予測不可能性の論拠になっているところです。
私たちが暮らしているこの社会、自然はまさにカオスな系。
どんな小さいことが原因となって大きな結果をもたらすかわかりません。あなたの未来はラプラスの悪魔にも、いえ、神さえも予測することは困難なのです。
 
見方を変えれば未来は常に不安定だとも言えます。
でもだからこそ人生は面白いと思えませんか?

*1:映画の「アレキサンダー」じゃ違う解釈がされていましたが。あっちの方が確かに真実っぽいよなぁ。